第43回
2015年8月15日更新
こんにちは。プロボウラーの
逸見正晃です。夏休み真っ只中の方が羨ましく思える今日この頃。連日、猛暑日を記録するような常夏をいかがお過ごしですか?
あまりの暑さにクーラー使用を推奨するなど、異常気象とも言うべき状態が続いていますね。我慢せずに体温調節をしっかりと、スポーツを楽しんでいただきたいです。
真夏でも、悪天候でもボウリング場は全国元気に営業しております!アウトドアも良いですが、丁度良い運動量のボウリングで健康的な一汗を是非、お願いいたします。
さて、今回お届けいたします
レビューの最新作は、サンブリッジが期待を込めて代理店へと名乗り出た第3のブランド
「ラディカル」の最高フックライン「グル™・マスター」です。
前作を超えるビッグフックモーションを実現した今作のポイントとは!?それでは、第43回
ストライクレビュー「グル™・マスター」編をどうぞ!
50°
×
5
×
40°・中指寄りピンアップセンター・バランスホールP2
45°
×
4
×
30°・薬指真上位置ピン配置・バランスホール
博多スターレーン(ウッドレーン)
46フィートのクラウンコンディション
30.75
ml
カストディアンプラス
42°
ブランズウィック・
DV8に続く第3のブランドとして、サンブリッジが今春より取扱いを始めた
ラディカルブランド。僅かな取扱期間ながらも、ひしひしと存在感をアピールしてきました。
現在の
ラディカル取扱いボールにおいて、最高値のフックポテンシャルを誇るのが今作「グル™・マスター」になります。日本未発売のグル™・ブラックはソリッドカバーを採用したボールで、発表時には最も曲がるボールの一つとして高い評価を受けていました。
その第2弾として、サンブリッジが初めて取扱を行った
前作のグル™・マイティはメリハリ感を強化すべく、ハイブリッドカバーを用いて国内市場へと投入されました。
発売直後より、多くのプロボウラーやトップアマチュアといった、ボールスペックに貪欲なボウラー達から高い評価を示し、大きな注目を浴びたことが記憶に新しく思います。
ボールパフォーマンスに最も影響する要素はカバーストックにあると先述して参りましたが、優れたコアデザインがベースとなる、ドリルによるボールパフォーマンスの変化を顕著なものとし、得意としているのが
ラディカルの大きな特徴の一つでもあります。
今作のカバーストックに採用したのは過去シリーズを見直し、更にグリップ力とフックパワーを増幅させるべく新開発した「ニューアグレッシブソリッド」になります。
これは、
前作とは違った100%ソリッドカバーに関わらず、オイルに強いだけではなく大きなバックエンドリアクションが得られる所をポイントとして強調しておきましょう。
適合コンディションがヘビーオイル表記の為、皆さまご承知の通りに優れたハイパフォーマンスボールの真価を発揮する為にはコンセプトに沿ったオイルパターンが求められるというわけです。
今回のケースでは、幅広い
レーンコンディション向けというよりも、レーン上のオイル塗布量が多くボールが滑り過ぎてしまいやすい状況下が最も有効な使用状況と言えます。
キャリーダウンに強く、ソリッドカバーらしく過敏なリアクションを起こしにくい為に一度、この安定感を体験するとラインナップの一つへと組み込みたくなることは間違いありません。
私が勤める
博多スターレーンの常連ボウラー様にお作りした所、ハウストーナメントで数多くの優勝や高スコアをマークする等の素晴らしい実績に結びついています。
最初は購入をお悩みされていましたが、私の「グル™・マスター」を数回転がした結果、即購入ご依頼となった点からも、インパクトの強さが伝わるのではないでしょうか。オイルゾーンから果敢に攻めてもこのボールは向きを変え強力にフックしてくれます。
タイトなアングルボウラーには余程なオイルパターンでない限りフック超過してしまうかもしれませんので、注意が必要なほどです。強力な摩擦を誇るボールに多いのが、ドリルした直後に曲りを感じにくいという症状があります。実は、限りなく強く摩擦を起こしていることでボールの直進力が足りず、ボヤけたフックモーションとなってしまう為です。
そこで、オイリー向けスペックボールをお求めの方々に一つアドバイスを。新品から使用10
〜
20G程度経過したくらいになると、表面に丁度良い量のオイルが吸着されることで動きが分かり易く落ち着いたものとなりやすいです。
また、その時点からのボールパフォーマンスが比較的長く続く為に安定したスコアリングを行える充実期間とも言うべきかと思います。ボールを新調したボウラーがしばらくプレーすると生まれる「慣れ」という感覚が出てくるのも、丁度このくらいではないでしょうか。自身の「グル™・マスター」も使用につれて段々と曲りが表面化してきていることが分かります。
そして、その高摩擦カバーを抜群のバランスで支えるのが、特許取得済のコアデザインで
「グル・アシメトリック」といいます。
これは、ドリルによるコア形状を壊さずにレイアウトが行えるという
ラディカルの真骨頂とも言うべきコアとなっており、それぞれのコアに対したドリルチャートが存在します。是非、参考にしていただき「グル™・マスター」の完成度を楽しんでください。
私の投球イメージでは、他ボールがレーン手前やミドルエリアで必要以上にスキッドし過ぎる際がやはり使用適合時に感じました。ブレーキが掛かりながら進むような印象を持ちますが、レーン中盤から徐々に方向転換を始めバックエンドではかなり大きなフック軌道が得られるのは謳い文句を裏切らず、曲がりを出せずに困っていたボウラーにとって救世主とも言うべき1球です。
正直、オイルが無いと難しいなと感じる部分はありましたが、その分に活躍する適合範囲がはっきりとしている為に使い易いという評価をしても良いと思います。薄めの7ピンや厚めの4ピンが良く倒れてくれる印象があり、10ピンの飛びもばっちりです。
回転数が一般的なボウラーの早め
コンディション対策や高回転ボウラーが厚いオイルから攻めることにも大変有効でバランス良い設計である証拠ではないでしょうか。
今回の「グル™・マスター」はヘビー向けボールということもあり、表面仕上げは#500
マイクロパッド→
#1500仕上げと粗めの仕上がりです。
先述の通り、この手のマット系ボールは使用につれて徐々に表面が変わり動きが変化してきます。しばらく投球を重ねた上で、表面を箱出しで保つのか、もしくは細かく研磨する等という対応をお勧めします。
今回、ドリルレイアウトは
「50°×
5×
40°」でピン位置では中指穴位置寄りのピンアップになります。
PIN
-
PAPを5インチとし、強いスペックをできるだけ幅広い使用範囲になればとスキッドエリアを考慮しています。完全非対称コアならではのマスバイアス位置による影響が大きなコアですので、マスバイアス効果はあまり早く反応し過ぎないようにとの想定です。
ビッグフックボールのイメージを強調したい方は「グル™・マスター」のチラシに掲載されているドリルチャートを活用しPIN
-
PAP距離を短くVAL角を小さめに設定することで、豊かなバックエンドリアクションを得られると思います。
比較ボールは当然、初の
ラディカル取扱いボール
グル™・マイティを選択し、投球いたしました。
こちらは
「45°×
4×
30°」のレイアウトで、ピン位置では薬指穴の上部にピン配置になります。カバーストックがハイブリッドカバーで、メリハリの良さと粘りあるフックモーションで男女プロ問わず人気ボールです。
こちらはオイリー以上での使用よりミディアムからオイリーでの投球が適しているスペックです。グル™シリーズに共通しているのは、コア作用から生まれる捻じれ感とグイグイと曲り込む動きにあります。しっかりと曲りが出せる状態で投球すると非常に優れたピンアクションが得られるので投球するシチュエーションには注意したい所です。
番手の違いは「グル™・マスター」が先述の#500
マイクロパッド→
#1500に対し、
グル™・マイティは#500
マイクロパッド→
#4000で、番手からもコンセプトが分かり易く作られています。
マット仕上げの「グル™・マスター」はオイルを使うと活きた球質を可能としますが、あまり長い区間薄いエリアを辿るとかなり丸い曲り形状となり、本来の持ち味とは違ったパフォーマンスとなります。やはりオイルの存在に敏感なボウラーほど上手く使いこなせるのではないかと思います。
それに対し
グル™・マイティは手前が程よくスキッドしてくれる為「グル™・マスター」に比べてアウトラインからの使用が主になり、ハイブリッドのキレを活用する為にドライゾーンへとボールを運んであげる必要があります。
ボールの落とし位置のオイル量や伸び具合で使い分けできれば有効な2球で、ピン前で動きが見にくく、全体的に薄めの
コンディションの際には
グル™・マイティを選び、キャリーダウンによって反応が甘くなりオイルに負けていると感じたら「グル™・マスター」を選択しましょう。
使う場面が異なるスペックですので、投球者の好みや
コンディションに応じてチョイスしてください。業界が誇るマニアな開発スタッフが贈る珠玉の1球が市場に登場いたしました。今までのボウリングボール達とも一味違ったパフォーマンスを是非ご体験ください。それでは、また次回の
レビューでお会いしましょう!
執筆後記
業界屈指のフックパワーを誇るモンスターボールが遂に誕生。ドリルレイアウトによるフックモーションの違いも大きな魅力です。ロングフックが好みのボウラーは見逃し厳禁です!
今回のドリルレイアウト
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