第25回
2015年1月5日更新
こんにちは、プロボウラーの
逸見正晃です。2015年に突入しましたね。
ストライクレビューをご覧の皆様、新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
年末より、我々ボウリング業界にとってビッグニュースが飛び込んできました!既にご存知の方も多いとは思いますが、
2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックにおきまして「ボウリング」が
オリンピック実施種目となる可能性が出てきたというものです。
五輪改革案
「アジェンダ2020」にて開催都市が追加実施種目を推薦できるように承認がなされました。ボウリングは幅広い年代に身近で、気軽に楽しめる国民的スポーツであり世界でも多くの普及を成しえています。
この追加実施種目に名乗り出ている競技は複数存在し、国民からの応援、盛り上がりによって決定されそうです。そう、我々や皆様の署名によって後押しできるということになるのです。
JBC:公益財団法人全日本ボウリング協会のホームページ内より署名用紙を取得できます。多くのボウリング場でも署名活動を実施中であります。業界の悲願達成の為にも、一人でも多くのボウリングファンからの思いを届けてください。何卒宜しくお願い致します。
さて、今回お届け致します
ブランズウィックの最新作「プライド・エッジ™」は国内向けに製造、日本市場にマッチしたスペックを送り届けてきた人気シリーズの進化系ボールです。
高スコアを生み出し易い抜群のバランスに私は大満足しています。良さを多くの皆様に紹介できればと思います。それでは、2015年初荷ボールとなります期待のニューボール、第25回
ストライクレビュー「プライド・エッジ™」編をどうぞ!
60°
×
4
×
50°・薬指穴内にピン抜き
55°
×
3・3
/
4
×
50°・薬指位置ピン抜き
博多スターレーン(ウッドレーン)
45フィートのクラウンコンディション
30.4
ml
カストディアンプラス
42°
ブランズウィックブランド、2015年最初のリリースは昨年より登場の人気シリーズ、
ザ・エッジ™の第3弾となります「プライド・エッジ™」です。
昨年の
JPBA公式戦優勝ボールにもなった
リンガー™を彷彿とさせるカラーリングに驚くボウラーも出てくることでしょう。
前作の
クール・エッジ™のリリース時には
寺下智香プロの女子プロボウリング新人戦の
優勝ボールになったことでも多くの反響をいただきました。
国内向け発売品ということもあり、様々なボウラーにマッチし、投球し易いスペックを提供してきた同シリーズ。初代はソリッドカバー、第2弾の
クール・エッジ™には新工法により誕生したソリッド70%・パール30%とのハイブリッドカバー、
そして、今作は更にマッチングを考慮したソリッド80%・パール20%のハイブリッドカバーである「グラデュード8.2」を新採用しています。
ややソリッドカバー寄りとなったハイブリッド仕様にて、オイル上では更なる安定感を求め、なおかつ動きはシャープさを保ちつつキレのあるパフォーマンスを要望するボウラーの贅沢なわがままに力強く応えてくれます。
コアはシリーズを通して同型の
「中・RG・シンメトリックコア」を使用しています。レーンを進むにつれて転がり感の増す、勢いを体感できるコアになっています。
低慣性コアに比べ、転がりのポイントが手前ではないので、先垂れしにくく、一般的な日本人の球速やパワーでもエネルギーロスの心配が少なくパワーを保持することを可能としています。
私が投球した感想としては、ちょうど欲しかったボールが手元に来た!という好印象から始まりました。クリスマスプレゼント(手元に来たのがその頃)かなと思えるほど、抜群にボールバランスが良くて即座に1軍入りが確定しました。
ボールパフォーマンスに最も影響を与えるのはカバーストックになりますが、そのカバーストックが改良・強化されたことで
ザ・エッジ™、
クール・エッジ™を飛躍的に超えるオイル上での安定したコントロール性能とパワフルなリアクションを実現しています。
まず、この「プライド・エッジ™」は良く動きます。オイルに弾かれてドライから急激に動くのではなく、ボールがレーンに着床した時点から軌道をブレさせずにしっかりレーンキャッチを感じられる中でフリップ感も増強されています。
前回の
フォルテラ・イントリーグや
メーリー™・ジャブを投球した際と同様のロング・クラウンパターン(45フィート)での投球でしたが、
これらの二個と前作の
クール・エッジ™のいずれと比較しても、派手さはやや劣るものの、最もレーン上で摩擦を感じられる仕上がりです。
オイル段差の境目を攻めても、内側の長いオイルエリアを辿っても、外側の短いエリアを通過してもまるでポケットに吸い込まれるかのようにパフォーマンスを示してくれます。
そして、ピンヒットする際にもう一度曲がるかのように当たることでピンキャリーへも非常に高い評価をしています。最近の優れたパフォーマンスを持つ
ブランズウィックボールの中でも屈指のクオリティだと私は感じています。
朝一のフレッシュなコンディションと、夜の稼働後の荒れたコンディションとで投球しました。朝一のオイルが多量にある状況下でも、必要以上に滑り過ぎる感はなく、ボール表面へのオイル付着具合も他ボールに比べて少量に感じられました。
幅を狭く投球しても、やや板目を多く使用しても入射角度を保てる安心感がこの「プライド・エッジ™」には持てます。逆に、全体のオイル量が削られた稼働後のコンディションでは、ボールの直進力が損なわれスピードのないボウラーには厳しいかなという印象を受けました。
しかし、過去のボールにはなかった、遅めのコンディションで早く曲がり出しても最後まで動き続けるリアクションには良い感触を持つことができました。インサイドに寄れるボウラーならば、かなりのレーンコンディション対応力を秘めたボールになりますので、これ1個で大会を投げ終えたという方も出てくることでしょう。
表面仕上げは「プライド・エッジ™」は#500
マイクロパッド→
ロイヤルコンパウンド→
ロイヤルシャインですが、十分にキャッチ力の良さを感じます。
遅めのコンディションでの投球が多い方は番手を細く上げてからの研磨剤仕上げにすると良いでしょう。反対に、早いコンディション対策ならば、オイリー向けの
マスターマインド™に比べてバックエンドでの動きが見やすいので、#1000
マイクロパッドを当てるとオイリーでも十分に使用可能な範囲になります。
今回のドリルレイアウトは、前作とほぼ同様の
「60°×
4×
50°」としています。力強いパフォーマンスと安定したローリングを求め、また自身にとってボールリアクションの差を感じ易く多用しているレイアウトです。
比較ボールに選択しましたのは、同シリーズ前作の
クール・エッジ™です。発売から約半年が経ちましたが、多くのユーザーが今なお愛用する
ブランズウィックの人気者になります。
バックエンドでの際立つパフォーマンスに定評を受け、初速のない女性ボウラーやシニアボウラーからの評判も厚く、ゲーム中盤から後半での活躍を良く目にしています。同ボールの特徴は長めのスキッドとドライゾーンのメリハリあるキレ、曲がりがポイントです。
普段のソリッド50%・パール50%のハイブリッドとは違った新しい工法で開発された新ハイブリッドカバーでの製造による独特の動きが魅力と言えます。反面、パールカバーではないので、手前のオイルがドライな状況ではアーク状な軌道を描く部分がありました。
新作「プライド・エッジ™」との比較では、カバーストックの配合比率の違いと、表面仕上げの違いになります。実際に投球すると数値以上に摩擦力に違いを感じます。ドライエリアに向かっての投球ではどちらも良くフックしてくれるのですが、オイルを長く使う場合や手前の量が多い状況になると「プライド・エッジ™」のカバーストックが相性良く活躍してくれます。
クール・エッジ™ではピン前がストレートになる場面でも先での動きを感じることができたのは大きな違いと言えます。ドライエリアに触れる必要のある
クール・エッジ™と、オイルに対して攻めつつ、ドライエリアからの戻り感も良い「プライド・エッジ™」です。
オイルに負けにくく、バックエンドリアクションも得られることで、シリーズ中でも特にピンアクションも良く、幅広い球質のユーザーに支持されると思います。今年の
ブランズウィックの躍進を想像できるかのような出来栄えです。是非、手に取って良さを体感してください。それではまた次のレビューでお会いしましょう。
執筆後記
初荷ボールにふさわしく、シリーズ第3弾として高い完成度を持って登場です。必要な直進力と、しっかりとしたバックエンドリアクション、そして安定したコントロール性能。このボールを持つことでボウリングの幅が広がりますよ!私逸見のお勧めの1球を是非、ご検討くださいませ。
今回のドリルレイアウト
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