新しい「クロス・エッジ™」はオイルの中でもしっかりとしたキャッチ力を維持しながらミッドレーンまでクリアなスキッドを生み、ドライゾーンに入ってからは急激なフリップモーションを起こし、過激な入射角でポケットを強襲します!
第67回
2016年4月23日更新
こんにちは。プロボウラーの
逸見正晃です。まずは、九州・熊本地震にて被災された多くの人々に対し、哀悼とお見舞いの意をお伝えいたします。同じく九州・福岡に居住する一人として「まさか!」という思いでいっぱいですが、一日も早い復興を心より願います。
今なお余震が続き、不安な環境で生活されている方々が多数いらっしゃるのを拝見すると、非常に辛い気持ちになります。ですが、先の東日本大震災の時と同様に、人々が一丸となり被災地の救援・救済に東奔西走しているのを見聞きし、人間の繋がり・絆を感じさせられています。
そして、我々も隣県の住民としてやれることから取り組まなければと思っております。是非とも、ボウリングファンの皆様もこの非常事態に際し、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
今回、ご紹介させていただく新商材は、
ブランズウィックの「クロス・エッジ™」です。サンブリッジが誇る開発チームによって、日本のニーズを最大限に考えて製作されてきた人気シリーズ「エッジ™」の最新作となりますが、なんと今作がシリーズ最後ということに... 。
ラストを飾るに相応しいスペックを武器に、再び日本のレーンを攻略いたします。真新しいカバーストックを纏った新生「クロス・エッジ™」の特徴とはどのようなものでしょうか。今回も最後までお付き合いくださると幸いです。それでは、第67回
ストライクレビュー「クロス・エッジ™」編をどうぞ!
70°
×
3・7
/
8
×
55°・薬指穴内にピン配置
55°
×
4・5
/
8
×
45°・ピンアップセンターレイアウト
博多スターレーン(ウッドレーン)
44フィートのクラウンコンディション
30.4
ml
カストディアンプラス
42°
日本限定シリーズ「エッジ™」も今作で第5作目(上記のラインナップ参照)となり、ひとまずの終焉を迎えます。過去には公式戦優勝ボールにも数えられ、実績・人気ともに高いサンブリッジが誇る国内向けボールでした。シリーズのラストを託された今作「クロス・エッジ™」は、シリーズで最も鋭角な入射角度とパワフルなピンアクションを贅沢に兼ね備えてリリースされました。
日本のボウラーが望むパフォーマンス軌道として一番多く聞かれるのは「走ってキレのあるボールが欲しい。」でしょう。球速が欧米ボウラーに比べて、乏しい傾向にある我々日本のボウラーにとって、やはりレーン上を爽快に直進する軌道のボールは高い人気を得ています。
入射角度を得やすいということは、ストライクゾーンの広さにも直結しており結果としてスコアアップに影響を及ぼすとしても過言ではありません。「エッジ™」シリーズはこのキレを体感し易いスペックが多く製造されてきましたが、過去作品と比べても明らかなキレ・メリハリの良さが今作最大の売りになります。
カバーストックには、
ブランズウィックの大人気ボール、
マスターマインド™・ブレイニアックで用いられた「リラティビティ・フリップパールリアクティブ」を使用。
ドライゾーンでの急激な摩擦の変化から生まれるバックエンドでの反応の良さは、最新カバーの成せる凄みと言って良いでしょう。良く走るものの、手前のオイルに対して滑り過ぎる印象は無く、良いバランス具合と感じています。
メリハリを強く求めた設定の為、オイル量よりも長さによる曲りの変化は多少大きく見えるので、キャリーダウン時などの投球は避けるべきかと思います。また、ボールスピード等によってドライゾーンでの動きが大きく異なるので、このボールの曲がる度合の受け取り方は様々となるかもしれません。
コアは手前からの反応を抑え、ドライゾーンで一気にパフォーマンスを起こすべく作られている
「エッジ・中・RG・シンメトリックコア」をシリーズ一貫して用いられています。
アーク状に曲り素早い転がり感を好む方(
マスターマインド™・アーテルがこのイメージ!)よりも、ロールアウトしづらくメリハリある動きを求めている方に適合する組み合わせになっているので、お求めのボールパフォーマンスで選択していただければ有用に使っていただけるはずです。
投球したイメージでは
クール・エッジ™、
クリスタル・エッジ™はシリーズ中でもキレのある軌道と捉えていますが、
凌駕するバックエンドパフォーマンスと新素材カバー特有のピン当たりの良さは、流石最新作だなという印象を持っています。使用ラインとしては、ライン上でドライエリアに触れる必要性はあるものの、入射角度豊かにヒットした際の強烈なピンキャリーは「素晴らしい」の一言です。
薄めのピンキャリーもまるでピンが軽いのかと思わせてくれるほどに良く絡み投げ手を力強くサポートしてくれるナイスな相棒となってくれています。逆に、オイルに向かってぶつけるような投球ラインを好む方とっては、オイルの長さがあると角度不足に陥り易く、十分にボールが摩擦を起こしてくれる状況下での投球に適しています。
ブレイクポイントがハッキリとしているレーンコンディションでは大きく板目を使っても容易に曲りを示し、コーナーピンの飛びも優れておりお勧めです。スピードが遅めのボウラーならば多くのコンディションにおいて、ピン側で良く曲がる球となってくれるはずです。
この「クロス・エッジ™」の箱出番手は、#500
マイクロパッド→
#1000
→
ロイヤルコンパウンド→
ロイヤルシャインと比較的番手を細かくしポリッシュ仕上げとなっていることもあり、とてもスキッド感に優れています。
ミディアムドライ以下を視野に利用する分においては、更に番手を細かくしハイポリッシュしてしまうのも有りですが、箱出でも直進力豊かであり曲がり出す箇所をどうするかで加工すると良いでしょう。
ドリルレイアウトは、エッジシリーズではほぼ同様の
「70°×
3・7/
8×
55°」で、薬指穴位置にピンを配置したレイアウトを採用しています。
中間位置での滑り過ぎを回避する為にピン
-
PAP間を抑え素早いコアの立ち上がりを目的としています。比較に用いたのは、
DV8の
ディーバ・XOXO(キス&ハグ)です。
こちらも
ドライ〜
ミディアム向けと、最近のボールでは曲がりがコンパクトな設計となります。曲りが小さ目なので、シンプルに攻められることで重宝しているボールですが、軌道は小さくキレのある動きで「クロス・エッジ™」と比較すると曲り幅はとてもタイトに感じます。
ドライゾーンでの反応の強さ・キレの度合では比較にならないほどに今作のバックエンドでの戻り感は大きく感じられます。適合コンディションが双方
ミディアム前後での使用が主になるので、先でキレを求め出し戻しの板目を投球する場合には「クロス・エッジ™」が適しており、
よりタイトにライン取りを行う場合やキレが深く出過ぎてコントロールし辛い場面では、
ディーバ・XOXOはとても投げやすい球筋となっています。
どちらも新素材カバーを適用しているおかげか、ピンキャリーは強く押し負けない当たりを示してくれるのでゲーム中盤
〜
後半にかけて頼りになります。
国内ユーザーに根強い人気を持つシリーズの最終作品として、華々しくデビューした「クロス・エッジ™」。走って切れるボールが欲しいというボウラーは是非気にかけてみてください。カラーリングも大変鮮やかな配色で見た目もゴージャスな今作は、日本のレーンを知り尽くしたサンブリッジ開発スタッフが自信を持って提供する最新作です。
本作と同時発売の
マスターマインド™・アーテル同様によろしくお願いいたします。それでは、また次回のレビューでお会いしましょう!
執筆後記
現在、
ブランズウィックがリリースしている数あるボールの内、特に強烈なバックエンドを示すスペックです。レーン手前のクリーンな直進力とドライエリアでの反応の良さは正に日本仕様。
軽量からありますので、スピードのあまり無い方や、中盤以降でメリハリあるリアクションを求めるボウラーにバッチリです!
今回のドリルレイアウト
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