第60回
2016年2月5日更新
こんにちは。プロボウラーの
逸見正晃です。春が近づいてくると、毎年実施されています
「プロボウラー資格取得テスト」(通称:プロテスト)を思い浮かべます。おそらく、全国のボウリング場にポスターが掲示されている頃ではないでしょうか。
今年は男子が第55期で、女子は49期となります。近年、開催時期が以前よりも遅くなってきた為、第一次テストの日時は4月上旬からのようです。昨年は若い新人プロボウラーが公式戦の優勝を果たすなど、業界を盛り上げてくれるフレッシュな合格者を期待している次第です。こちらの状況は進展に合わせ、またご紹介していきたいと思います。
さて、今回の
レビューで取り上げるボールは、
ブランズウィックより新発売中の「メーリー™・フック」です。
初代から数えて、今回で4作目となるベンチマークシリーズ。
遂に待望の最先端カバーとの融合でどこまで進化したのか、どうぞご注目ください。それでは、第60回
ストライクレビュー「メーリー™・フック」編をどうぞ!
75°
×
3・1
/
2
×
40°・薬指右上付近にピン配置
75°
×
3・1
/
2
×
40°
博多スターレーン(ウッドレーン)
42フィートのクラウンコンディション
30.6
ml
カストディアンプラス
42°
新年最初の発売ボール、つまり初荷ボールはその年を占うかのように、個人的には特別な印象を持っています。昨年には
プライド・エッジ™が初荷ボールで、非常に助けられた主力ボールとして役立ってきました。
否応なく関心が集まる1月発売ボールは、先に紹介しました
DV8の
バンダル™・ソリッドと、今回の「メーリー™・フック」になります。
初代・
メーリー™のリリース以降、
ブランズウィック・ボールラインナップの中でも、
ミディアム向けシリーズとして、今回で4作目を数えるまでになりました。
対称コアならではのシンプルな動き、且つ融通の利いたパフォーマンスで、競技ボウラーの中盤以降やリーグボウラーのメインボールにと多用されているのが特徴です。
そして、今回は待望の最先端カバーストックである「リラティビティマックス・リアクティブ」を纏い、強力なバージョンアップを実現いたしました。やはり、新素材カバーの優れた点はレーン上でのグリップ感とドライゾーンでの動き方、そこから生まれる頼もしいピンアクションの強さに尽きます。
この新カバーは
DV8でおなじみとなった新素材カバー「コンポジット」を更にアップグレードした改良型です。この優れたカバーストックに見合うべく選択されたのは、前作の
メーリー™・ジャブと同様に素早い転がりと、
一気にブレイクさせる力を持つ
「メーリー・低・RG・シンメトリックコア」を搭載しており、強力なカバーストックと
コアの組み合わせから誕生したということは言うまでもありません。
私の印象としては、第一印象からしてシリーズ最高の出来栄え!でした。
コアの強さを活かすカバーストックとの相性が抜群で、レーン上でのグリップ感は絶妙なバランスを得ています。
転がり続けて進み、ミッドレーンからバックエンドにかけて力を損なうこと無く、大きなヒッティングパワーを体感させてくれる点などからしても、過去の製品を大きく上回る性能と言うべきです。これまでのシリーズではもう一つピンに向かってほしいと感じることがありましたが、そうした悩みは大きく改善され、曲がり幅も十分なパフォーマンスを持つボールとなりました。
番手の仕上げによる影響はあるものの、手前から的確にレーンキャッチしてくれる強さがある為、手前から当たりは出始めます。なにより、レーン中間地点辺りでの安定した軌道はオイルを辿っての投球にも対応可能で、エンドユーザーから競技ボウラーまでお勧めできるスペックです。
投球ラインとしては、レーン途中から軌道が変わりつつ進行していくタイプで、バックエンド集約タイプでは無いので、出し戻しのラインよりも板目を狭く使う投球ラインからオイルゾーンをポケットに沿わせ、ぶつけるようなラインを好む方は必携とも言うべきボールです。
大きく出し戻しを求めるタイプには、非対称コアボールを選択するか、よりメリハリのあるボールチョイスが適しているでしょう。
表面仕上げの番手は、#500
マイクロパッド→
#2000のマット仕上げで、見た目からレーンキャッチ力が強そうに映ります。適性としては、スピードのあるボウラーや、回転不足のボウラーにも回転方向の変化が早く入射角度を高く捉えることが可能です。
さらに、パワフルなボウラーにも納得のアーク状パフォーマンスで投球し易さも兼ね備えています。カラーリングはチラシの映り方より更に濃いネイビーカラーで、見慣れたカラーながらやはり重厚感ある仕上がりに思います。
また、番手を粗く削ることで、オイリーでも十分戦える強さを秘めており、曲がり幅を求めての投球にも対応できる幅広さを持ちます。
ドリルレイアウトは比較投球に用いた
ファントム・リブート™同様の
「75°×
3・1/
2×
40°」とし、
ピンの位置はおよそ薬指の右上辺りという具合です。
対称コアの為、Pin
-
PAP距離とVAL角によるピンアップかピンダウンの違いです。非常に早くコアのブレを起こさせ、軸移動を早めたのは、強力なスペックのボールをオイルのある環境で投球したくレイアウトしました。
比較投球に用いた
ファントム・リブート™は昨年発売したボールラインの中でもお気に入りの1球で、ハウスコンディションの中盤程度を安心して任せられる優れものです。
今回、
全く同様のレイアウトということと、共に
対称コアの点から比較してみました。
まず、レーン上でのグリップ感についてですが「メーリー™・フック」がミッドレーンでのキャッチ感が良く後半まで持続してフックモーションを描くタイプなのに対し、
ファントム・リブート™はより楽にスキッドし、ミッドレーンを駆け抜けてドライエリアから曲りが出てくる印象です。
手前が枯れてきたコンディションではスキッドレベルが比較的高めの
ファントム・リブート™の方がポケットに集めやすさを感じるものの、キャリーダウンに反応してしまう為にオイルを感じる際には間違いなく「メーリー™・フック」が効果的に働いてくれるはずです。
また、
ファントム・リブート™に使用している「オーナーロール・ソリッドリアクティブ」は
マスターマインド™に採用されてきたカバーストックですが、
最先端である「リラティビティマックス・リアクティブ」を使った「メーリー™・フック」は更に一回り優れたピンアクションと当たりの強さを持ち合わせています。
カバー、コアともに強いスペックの為、より内側に立ち位置を構える必要がありますが、オイル量に合わせて両者を使い分けると無理なくゲーム進行を行なえていけるように感じています。ピンをなぎ倒すかのようなヒッティングパワーでストライク率の向上を期待させてくれる今作「メーリー™・フック」。
シリーズ最高のパフォーマンスを手に入れ、市場に投入です!テスタープロの評価も大変高い理由を是非とも、多くの方にお試しいただき、感じてもらえればと思います。それでは、また次回の
レビューでお会いしましょう!
今年のバレンタインも、人気のあの
ボールが帰ってくる!どうぞ、お楽しみに!
執筆後記
ピンの破壊力が飛躍的に向上した人気シリーズの最新作。遂に最先端カバーを纏った今作の力強いパフォーマンスにご注目ください。テスターの評価が非常に高く、その価値は投げればきっと分かります!
今回のドリルレイアウト
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