第47回
2015年9月26日更新
こんにちは。プロボウラーの
逸見正晃です。革命的なカバーストックの登場で
ブランズウィック・グループに大きな注目が集まっているこの頃ですが、皆さんはもう試してみられましたか?
従来のカバーストックとは大きく違ったパフォーマンスと、耐久性に優れた秘密を持つ新素材のカバーストック。さて、今回ご紹介いたしますのはその注目カバーを採用した「アウトレイジ™・スナイパー」です。日本モデルとしては初となる新素材カバーを纏った同作品は、他の新素材ボール達とはどう違い、どのような特徴があるのでしょうか。
今回も最後までお付き合いの程、どうぞ宜しくお願いいたします。それでは、第47回
ストライクレビュー「アウトレイジ™・スナイパー」編をどうぞ!
75°
×
3・1
/
2
×
40°
45°
×
4・1
/
8
×
30°・薬指真上位置ピン配置
博多スターレーン(ウッドレーン)
42フィートのクラウンコンディション
30.6
ml
カストディアンプラス
42°
先日
ストライクレビューに取り上げました
ネクサス™・プロVは相変わらずの好調ぶりで、ロングセラーを誇る人気シリーズの強さを感じています。
さらに、今夏に発売しました
ブランズウィック・
DV8珠玉の新素材カバーボール、
マスターマインド™・アインシュタイン、
バンダル™、
サグ™・コラプトらも入手が困難な状態にまで浸透してきました。
はっきり申し上げますと、今の
ブランズウィックブランドボールは決して劣ること無く、いずれも優れたパフォーマンスボールであるということです。
では、今作の紹介ですが、上記新素材ボール3種に続く、第4の新素材ボールはなんと!日本限定仕様にて登場です!
アウトレイジ™の名を冠したボールは今回が第2弾であり、前作の初代・
アウトレイジ™からは約3カ月ぶりのリリースとなります。
やはり、まず注目なのはカバーストックでしょう。
DV8を支えた人気カバーストック
「クラス13G」はオイル吸着も良く、レーン上での安定した摩擦力は十分優れたものであることは間違いありませんが、新素材カバー「コンポジット」はもう一回り、進化したカバーストックと評価しています。
もちろん、今作も新素材仕様となっており、
サグ™・コラプトと同様の「コンポジット・ハイブリッド」カバーを採用しています。(※
バンダル™はコンポジット・パール。)
抜群のピンアクションを提供してくれるのが最もインパクトの強い部分になりますが、日本向けスペックとしてのリリースらしく、扱い勝手にも富んでいるのが「アウトレイジ™・スナイパー」の特徴です。
初代・
アウトレイジ™に使用しているのは
DV8の人気ボール、
マローダーに使われた対称コアでしたが、
今作は同シリーズ名を使ってはいるものの、コアは
「フーリガン」にて使用しました対称コアへと変更されています。
転がりの早さと傾き具合は
「マローダーコア」の方が強く大きい為、あえて変更したのはカバーストックの強さに合わせてバランスを取ったのではないかと思います。
一度傾き出すとフリップ感が良く出るのは
「フーリガンコア」の特徴でメリハリを強調する分として、非常にわかりやすくなったのではないでしょうか。
では、私の投球イメージを説明しますと、
マスターマインド™・アインシュタインや
バンダル™よりも柔らかい軌道で、
サグ™・コラプトよりコンパクトでシャープな印象を持ちました。
目が細かいとは言え、マット仕上げによるオイルキャッチの良さはとても感じますが、噛み過ぎて垂れてしまうことは無く、カバーストックとコアデザインのバランスが日本仕様とも言うべき改良点です。
「コンポジット」の特性はどちらかと言うと表面にオイルが付着するイメージですが、研磨などメンテナンスを行い可愛がってあげることでハイパフォーマンスボールの中ではとても耐久性に優れた素材です。
オイルを長く辿ると戻りが甘くなる感触があった為、オイルの山からの投球よりは多少削れてきた箇所を投球した方がグリップ感も良く、ピンキャリーの充実と軌道の安定を体感できました。
板幅を広げても投球可能で、このあたりの融通の利き方は全世界モデルで同カバーストックの
サグ™・コラプトよりも使える範囲は広いと思います。動きが視覚的にも見易くなっている点は、我々日本人ボウラーが良く望むポイントであり、ニーズに対し良く反映しています。
フォワードロールが強いボウラーには持続力のあるアーク状に、サイドロールが強いボウラーではバックエンドでの心地よいスナップ軌道が可能です。箱出のバランス自体が大変良いのですが、番手を落とすことでオイル上でのグリップ力を向上することもでき、そのままポリッシュすることで、先述の「多少削れてきた箇所」を攻める際に有効な球となります。
私の考えでは、番手を落とすことも勿論良いのですが、先に発売した新素材3種を考慮した所、中間にラインナップを組み込む場合には寧ろポリッシュかなと感じた次第になります。同系カバーストックを使用しているとは言え、それぞれに特徴を持つ、似て非なるボール達ですのでこのように調整をしています。
箱出での番手は#500
マイクロパッド→
#4000仕上げです。この処理では、ゲーム数を重ねるにつれてボール表面がツヤを帯びてくるのが特徴でしょう。ボールがスキッドし過ぎだと感じられた際には研磨処理は大変有効ですので覚えておいて損はありません。
今回ドリルしましたレイアウトは
「75°×
3・1/
2×
40°」で、薬指の少し右上辺りにピン配置をしております。
強くフレアを起こすようにレイアウトをしたのは、コア数値がやはり控えめなのと、しっかりと傾きを感じる方がピンキャリーの面でも使いやすい印象があるからです。比較に用いたのは
アウトレイジ™を選択しました。
こちらのレイアウトは
「45°×
4・1/
8×
30°」の薬指真上にピン配置にてドリルしています。
軌道イメージでは、
アウトレイジ™は手前からの転がりを感じられる、いわゆるアーク状のスペックになります。スピードボウラーならば板幅を狭く使うことで「当てる」ライン取りに相性が良く、スピードがあまり無いボウラーならば緩やかなカーブを描きコントロールし易いボールです。
両者の比較においては、手前からの動き出しは初代が早く、ミッドエリアまでの安定感に優れています。レーン中盤からピンデッキ側にかけて「アウトレイジ™・スナイパー」はより深く大きな入射角度を得ることができ、ピンを瞬時に刈り取ります。また、ピンヒットした際の音が大きくなっているのが特徴的に思えます。
クリーニングの利いたフレッシュなコンディションにおいては、両者スコアメイクに優れますが、キャリーダウンを感じてくる頃には段々と差が見えてきました。オイル上でのグリップ感は初代の軌道がイメージし易いのですが、やはりストライク率に違いが生じました。
今作はドライゾーンでのグリップ力に優れており、多少キャリーダウンしてくると曲がりそのものは小さくなるものの、角度が浅めのヒットでも結果としてピンが倒れてくれるのはボールの進化と評価すべきでしょう。
ボウリングボールを語る上で大変大きな役割を持つカバーストックの進化はボールパフォーマンスに直結して影響を及ぼします。その最も重要なファクターであるカバーストックの改良化に成功した
ブランズウィックグループ社ボールは益々広がりを見せることは言うまでもありません。
そして、間もなく情報が解禁となる来月お目見えの新ボールは期待大です。
サンブリッジ新製品情報に、より一層の注目をしてみてください。
それでは、また
次回のレビュー(ファントム・リブート™)でお会いしましょう!
次回作も大変お勧めです!私のお気に入りの1球をお楽しみに!
執筆後記
初の日本仕様、新素材カバーボールが登場!あのピンアクションを、国内向けの使いやすい軌道で実現しています。これでピンを「瞬殺」し、高スコアを獲得しましょう!
今回のドリルレイアウト
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